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2020.10/28 更新 メディア

2020.10.19_AIと職人

 ふくべ鍛冶には日本中の至る所から新品の頃の切れ味をまるで失った包丁が年間1万本以上届けられる。ふくべ鍛冶はいわば「包丁駆け込み病院」的な存在であり、郵送された包丁を完治させて送り返すのだ。このサービスにはポチスパというなんともかわいらしく親しみ深い名前が付いている。ありがたいことにポチスパの受注数はうなぎ上りで、これからさらにお客様の需要に応えていくべく、4代目の健太朗は人工知能(AI)の技術で包丁を自動修理するマシンの開発を計画している。

 AIの導入によって職人が必要なくなってしまうのではないか、こうした疑問に健太朗は「AIを導入することで労働時間が短縮され、次の世代の育成に割く時間が増え、職人を志す人材も増えるのではないか」と考えている。また、職人が経験を積み重ねることで体得する技術を数値として可視化できるようになることで、新規で野鍛冶の世界に飛び込んできた若者が、より迅速に野鍛冶に必要な技術を習得することが可能になるのではないかとも考えている。