columun

2020.08/14 更新 メディア

20200827_全国放送_世界はほしいモノであふれている

世界は欲しいモノにあふれている

NHK総合『世界は欲しいモノにあふれている ~旅するバイヤー 極上リスト~』

www.nhk.jp/p/sekahoshi/ts/4VZ821WYX1/

日時:2020年8月27日(木)22:30~23:15

放映:NHK総合内容:JAPAN!究極の台所道具

数年前から仲の良い料理研究家のナンシーさんが、奥能登で見つけた道具と料理。料理人と刃物職人のこだわりを是非ご覧ください。

番組で紹介されている「イカ割き包丁」はこちら。 https://fukubekaji.shop-pro.jp/?pid=102887049

【番組の内容】

海外のシェフを感動させたという特別な一本、石川県のイカサキ包丁。

ナイフのように小さくて軽いが、切れ味は鋭い。両刃のため、傾くことなくまっすぐ刃が通る。ぬめりがあって切りづらいイカや小魚をさばくために生み出されたものだ。

手に持ったイカが、もう一方の手に握られたイカサキ包丁で次々と開かれていく。その様子を見て「それでイカサキ包丁っていうんだ!さきたい!」とMCのJUJUさんは目をみはる。

「このイカサキは便利な包丁ですよね。細くて強さもあるから野菜も切れるし、なんでも切れる。包丁を1本持っていくのならば、これがいい。軽くて小さいし」

その言葉どおり、料理研究家・作家のナンシー・シングルトン・八須さんはミモレットという固めのチーズを細かく切ってみせた。

世界を魅了するイカサキ包丁。その鋭い切れ味の秘密を探るため向かったのは北陸・石川県能登半島。イカサキ包丁の作り手は、地域に1件しか残っていない鍛冶屋の職人だという。創業100年、4代続く老舗「ふくべ鍛冶」。

「こんにちは!ひさしぶり」ナンシーさんが明るく挨拶をすると、ようこそ、とはにかんで迎えた4代目の干場健太朗。

干場家は、代々「野鍛冶」と呼ばれる職人。野鍛冶とは、刀鍛冶とは違い農家や漁師が使う日用品を手掛ける鍛冶屋だ。店には漁具や農具、裁縫道具など日常生活になじみのある道具が並ぶ。

ここでMCの二人にクイズ。これは何の道具だろうか?

サザエ開け

JUJUさんが「魚をひっかけておくんじゃないですか?」と答える横で、三浦春馬さんが「あっ、わかった!」と声を上げる。「雑草系じゃない?」 答えは二人ともはずれ。正解は、サザエを開ける道具だ。「あ~、なるほど!これは海女さんにしかわからないです」と笑いながらも、つるりと身が取り出されていく様子から目が離せないJUJUさん。「サザエに特化した道具があるなんて」と驚きます。

サザエ開けの他にも、牡蠣開けや、先端の出っ張りが特徴的な能登鉈。

野鍛冶は、このように地域の人のあらゆるニーズに合わせて刃物を作り出してきた。

ナンシーさんが「日本の包丁はすごいと思います。刃のメンテナンスは必要ですけど、けっこう長く切れるでしょ」というと、健太朗は「はい、”長切れ”します」とうなずく。

「長切れ」――これこそ、日本の刃物の極み。一度研げば、長い間切れ味が落ちない。

その技を守るのが、健太朗の父で3代目の干場勝治だ。60年間毎日、金槌で刃物を鍛え続けてきた。

800℃に熱した鉄や鋼を何度も打つ「鍛造」。この鍛造に、長切れの秘密があるという。

鍛造のときにまわりに飛び散る火の粉を見て「叩きながら細かい部分を外しているの?」と尋ねるナンシーさんに、健太朗が答えた。

「飛び散っているのは不純物ですね。鉄の中の錆びる原因となる不純物などを追い出しているんです」

不純物を飛び散らせ、刃を固くする炭素の純度を高める。叩いて組織を密にし、固く締まった刃に。手入れをすれば何十年も使い続けることができる。

鍛造 火造り

しかし、鍛造を守る職人はこの町でふくべ鍛冶を残すだけになった。

「日本中で作っている人は?」というナンシーさんの問いに、「日本全体で見ても、もうほとんどプレス加工ばかりやね。鍛造でやっている人はあまりいないね」と答える干場親子。

「戦後刃物もたくさん必要になったので、手で叩いて1本1本作るのでは追いつかなかったんですよ。それで刃物の産地では、どんどん数を作れるプレス加工に転換していったんです」

野鍛冶であるふくべ鍛冶にはもうひとつ大切な仕事がある。刃物の往診だ。鍛冶屋がいなくなった地域を回り、古い刃物の修理を受け付けてきた。

健太朗は、とある家を訪れ錆び付いた包丁を手に取る。

「大丈夫ですね。これいい包丁です。また使えるようになりますよ」

丹精込めて作ったものは、使う人の意識を変える力があると気づかされる。「使い捨ての文化じゃなくて、長く使っていこうという気持ちがある人が多いのだと思いますね」と健太朗。

父・勝治も、「お客さんが使いやすいと言ってくれ、長く使えたなと思ってくれることは職人冥利に尽きる」と語る。

「職人による手作りの品の良さは、自分が長く使い続けられるだけでなく孫の世代にまでも残せること。長持ちというのは、日本の考え方として重要」と結ぶナンシーさん。

作り手から作り手へと技をつなぎ、そして使う人が次の世代へと品をつないでいくこと。それは大切にするべき日本独特の美徳といえるだろう。

番組で紹介されている「イカ割き包丁」はこちら。 https://fukubekaji.shop-pro.jp/?pid=102887049