ふくべ鍛治
需要獲得×ものづくり
地域も一緒にマネジメントする「ニュー村の鍛冶屋」
1908年創業の今年、創業113年を迎えるここふくべ鍛治では、能登を中心に脳漁業、土建業、一般のお客様を対象とした、金物の製造、販売、修理を生業としています。
近年、数多くの鍛冶屋が、需要の変化や大量生産化が進行する過程で、業種転換などを迫られて、徐々に姿を消し、産業そのものも衰退してきました。
そんな中、ここでは、新商品開発による付加価値の創出、ブランド力の向上に努める。移動販売者による出張販売を展開。地域の買い物弱者対策に尽力。などといった、経営戦略のもと、数多くの需要を獲得しています。
詳しく述べると、新商品の開発を行ないました。後継者の4代目がふくべ鍛治に従事した後、新商品「サザエ開け」を開発しました。このサザエ開けは誰でも簡単に生のサザエを殻の奥のワタまでこの道具一つで取れるという代物です。一般的に生のサザエを取り出すには殻を割る、先の細いもので悪戦苦闘しながら取り出すと言うイメージですが、この商品を用いると、ものの5秒ほどで取り出せるといいます。既製品とは異なると言うことから特許を出願、また、このPR動画をインターネット上に公開したところ、全国の漁業関係者、料理店、鮮魚店から数多くの注文が押し寄せているそうです。伝統の技術と斬新的な発想の賜物と言えるでしょう。
移動鍛冶屋の実施は、地元商店街と連携し、地域の販路開拓と買い物弱者への対応を両立するものとなっています。移動鍛冶屋は、2015年より能登町内をめぐっており、能登町内のどこの家の納屋にも錆びて使えなくなってしまった農具や漁具が存在し、思い出の詰まった道具を直して欲しい、との注文が殺到していると言います。2016年からは、地元の商店街と共同で、「出張商店街」として発展しました。鮮魚店やパン屋などが一堂に介して山間部に住む高齢者などの買い物弱者の支援を行なっています。
お客様の要望を第一として、伝統の技術で使いやすく長く使える道具を目指して作り続けています。