明治創業の老舗、ふくべ鍛冶の4代目干場健太朗は、年間5千億円規模の大市場である包丁研ぎに新たな切り口の計画を考案した。その内容は、膨大な職人の技術を搭載した機械を開発し、ある程度の工程をその機械に任せ、最後に職人が仕上げを施すという画期的なアイディアだ。この計画が実装されれば、大量に押し寄せる受注をよりイージーに捌くことや、作業工程の簡略化により新規で野鍛冶の世界に飛び込みやすい環境を形成することが可能となる。このようにユニークで素晴らしい発想は、全国区の経営コンテストで最終選考に残るほどの熱い注目を集めている。
過疎化が進む奥能登において、共に働く人材を確保するのはとても難しいことだ。しかしその中でもふくべ鍛冶には今日も莫大な受注が舞い込んでくる。ではこの需要に少ない人手でどう応えていくか。それには機械の力を借りて作業工程をより簡略化するしかないと健太朗は考えた。
頭の中にあるイメージを練り上げ、一つの計画案を作成した。それを引っ提げて地域起業家を育成支援するジャパンチャレンジャープロジェクトによって行われた「いざ鎌倉!地方創生の祭典ジャパンチャレンジャーアワード」に応募し、約50件の応募の中、なんと健太朗の計画案は最終選考まで勝ち残った。
計画通りに出来上がれば、包丁研ぎのおよそ9割をこなしてくれる夢のようなマシンとなる予定だ。残りの1割を職人の手で仕上げることで、全工程を手作業で行ったものと遜色のないクオリティーを提供することができる。そのため、このマシンが導入されることで、時間単位の捌ける受注数が大幅に増えることで売り上げを拡大しつつ、さらには人材確保を実現することも夢ではない。
今回エントリーしたコンテストで入賞すると、企業や資金援助やパートナー企業紹介などの支援が受けられる。最終選考で「古くて新しいかじやの窓口」といったテーマでプレゼンテーションを行う健太朗は「本計画は伝統を守り、雇用を生み出すことにつながる計画。時間はかかると思うが、それだけの価値はあると確信している」と意欲を示している。